2021年過去問
作ったらみんなが喜ぶと聞いて.
\[\require{physics}\]
1
レオロジーとは、(変形と流動) の学問であり、(ソフトマター)と呼ばれる固体と液体の中間的な性質をもつ材料を対象とする。
固体の示す性質を(弾性)、液体の示す性質を(粘性)と呼ぶ。その二つをわけるのは、簡単には(かたち)を忘れるかどうかである。
エネルギーの観点からは、固体は変形によるエネルギーを(貯蔵)する一方で液体はエネルギーを(散逸)する。
スライムやゲルは、(時間)によって固体と液体の中間的な性質を示す(粘弾性)体である。
マヨネーズや歯磨き粉は、(加える変形量)によって固体と液体の中間的な性質を示す(塑性)体である。
レオロジー特性を利用した様々な材料が、わたしたちの身の周りに存在する (例:化粧品、防振ゴム、、、、)。
2
材料の力学を扱う上で、力と変形の関係は試料形状によらない必要がある。このため、規格化した力、変形量として(応力)と(ひずみ)が用いられる。
一軸伸張変形を特徴づけるパラメータとして(ヤング)率が、ずり変形を特徴づけるパラメータとして(剛性)率がある。これらは、変形前後の体 積変化を示す(ポアソン比)で結び付けられており、等体積変形下におい て(3)倍の関係にある。
より一般的な表記として、(テンソル)を用いることができる。対称性を考えるとこのテンソルには、(6)個の独立変数が存在する。
純粋な変形の効果を考えるため、(フィンガーテンソル)が使われる。さらに、座標系によらない変数として、(不変量)が用いられる。
3
材料の粘弾性は、(レオメータ)という装置を用いて、種々の変形を加えることで評価できる。
粘弾性評価方法としては、一定ひずみを加え応力の時間変化を観察する(クリープ)、正弦ひずみを加える(動的粘弾性)がある。
それぞれについて、(緩和弾性率)、(クリープコンプライアンス)、(貯蔵・損失弾性率)を用いることで、粘弾性の定量的な議論ができる。 線形粘弾性の範囲において、これらの関数は等価な情報を有する。
任意の変形履歴を受けた場合、ある時間における応力 (ひずみ) は過去の時刻における微小時間内に誘起した応力(ひずみ)の総和として記述できることを(Boltzmannの重畳原理)と呼び、この加成性が成り立つ範囲 を線形粘弾性と呼ぶ。
実際の成形加工、実用上は(非線形)粘弾性が重要となる場面もある。
4
高分子は、分子が(共有結合)によって連結したひも状の物質である。
高分子は、ポリエチレンのような(結晶)性高分子とポリスチレンのような(非晶)性高分子に大別できる。(非晶)性高分子には、分子運動性の違 いによって、(ガラス)状態と(ゴム)状態が存在する。(ゴム)状態の高分子が示すソフトな弾性を(ゴム)弾性と呼ぶ。
(ゴム)弾性の特徴は、
- 金属と比べ(小さい力で大きく変形)する
- 温度を上げると弾性率が(増加)する
- 急激に伸長すると(暖まり)、急激に圧縮すると(冷える) - 応力ー延伸比曲線が(S)字型
熱力学的な解析から、ゴム弾性は、金属の示す(エネルギー)弾性と異なり、 (エントロピー)の寄与が支配的であることがわかる。
5
ゴム弾性は、(エントロピー)由来の寄与が支配的である。
高分子一本鎖の弾性は、(ガウス)統計を用いることで、定量的に議論することが可能である。
網目を単純化した(自由連結鎖)モデルを用いることで、ゴムの非線形挙動をある程度、記述可能である。
ゴム弾性の式に基づくと、弾性率は(部分鎖密度)に比例することがわかる。
架橋点数や(部分鎖)密度は、パーコレーションモデルなどで見積もることができ、(\(G = 2pCk_BT\))のように予測される。
高分子絡み合い溶液の場合、弾性率は(濃度)のみで規定される。
6
- 高分子の粘弾性緩和は、(分子ダイナミックス)を反映する。
- 非絡み合い系の粘弾性緩和は分子量に対して(2)乗の関係を示す。( バネ・ビーズ ) モデルを用いることで、粘弾性緩和挙動を予測可能である。Boltzmannの重畳原理より粘度の分子量依存性は(高分子のからみあい ) と予測される。
- 絡み合った高分子の粘弾性緩和は、濃度・分子量に対して( ) の関係を示す。絡んだ周囲の鎖の影響で、分子は一方向に拡散する( 熱 )運動によって緩和が起こる。(管 )モデルを用いる ことで、絡み合い高分子の粘弾性は記述可能である。
- 分岐が入ると( レプテーション運動(一次元運動) )が抑制され、( 鎖の収縮運動 )によってのみ緩和が 進行するため、ダイナミクスが遅延する。
- 高度に分岐すると、系全体が固体として振る舞うゲルになる。 ゾルとゲルの境目では、( 緩和時間が発散)の関係が見られ、( Winter -Chambon )則と呼ばれる。