数学II
各問では、最初に問題だけを読み、解き終えてから折りたたみの「解答」で式の流れを確認できます。難易度と所要時間は演習の目安です。
第1問
問題
\(\{ a_n \}\) を \(1, 2, 3, \cdots , n\) を任意に並び替えた数列とする。この時、次の式の取りうる最大値を求めよ。
\[ a_1a_2 + a_2a_3 + \cdots + a_{n-1}a_n + a_na_1 \]
まず \(n=1\) のとき、和は \(a_1^2=1\) である。以下では \(n\geq2\) とする。
求める和を \(S\) とする。恒等式
\[ \sum_{i=1}^n(a_i-a_{i+1})^2 =2\sum_{k=1}^n k^2-2S, \qquad a_{n+1}=a_1 \]
より、\(S\) を最大にすることは、円順列で隣り合う数の差の平方和を最小にすることと同値である。
各辺の差を \(d_i=|a_i-a_{i+1}|\) とおく。円順列は最小値 \(1\) から最大値 \(n\) へ進み、再び \(1\) へ戻るため
\[ \sum_{i=1}^n d_i\geq2(n-1). \]
また正整数 \(d\) について \(d^2\geq3d-2\) だから
\[ \sum_{i=1}^n d_i^2 \geq3\sum_{i=1}^n d_i-2n \geq4n-6. \]
この下限は \(n=2,3\) ではそれぞれ数列 \(1,2\) と \(1,2,3\) により達成される。\(n\geq4\) では、たとえば
\[ 1,2,4,6,\ldots, \begin{cases} n,n-1,n-3,\ldots,3 &(n\text{ が偶数}),\\ n-1,n,n-2,n-4,\ldots,3 &(n\text{ が奇数}) \end{cases} \]
という円順列で達成される。このとき差は2個が \(1\)、残り \(n-2\) 個が \(2\) で、平方和は \(4n-6\) である。
したがって、最大値は
\[ \boxed{ S_{\max}= \begin{cases} 1 &(n=1),\\[2mm] \dfrac{2n^3+3n^2-11n+18}{6} &(n\geq2) \end{cases} } \]
第2問
問題
\(x>0\) として、次の式の最小値を求めよ。
\[ \frac{\left(x+\frac{1}{x}\right)^6 - \left( x^6 + \frac{1}{x^6} \right) - 2 }{ \left( x + \frac{1}{x} \right)^3 + \left( x^3 + \frac{1}{x^3} \right) } \]
\(t=x+1/x\)、\(s=x^3+1/x^3\) とおく。\(x>0\) だから \(t\geq2\) であり、\(s=t^3-3t\) である。また
\[ x^6+\frac1{x^6}=s^2-2. \]
したがって、与式の分子は
\[ t^6-(s^2-2)-2=t^6-s^2=(t^3-s)(t^3+s) \]
となる。分母が \(t^3+s\) なので、与式は
\[ t^3-s=3t\geq6 \]
まで簡約できる。等号は \(t=2\)、すなわち \(x=1\) のときに成立する。よって最小値は \(\boxed{6}\) である。
第3問
問題
放物線 \(y=x^2\) 上に3点 \(A, B, C\) があり、 \(\triangle ABC\) は \(\angle C\) が直角となる直角三角形である。このとき、 \(A, B\) の座標をそれぞれ \((a, a^2), (b, b^2)\) とするとき、 \(a, b\) の条件を求めよ。
\(C(t,t^2)\) とする。\(t\neq a,b\) のとき、\(AC,BC\) の傾きはそれぞれ
\[ \frac{a^2-t^2}{a-t}=a+t, \qquad \frac{b^2-t^2}{b-t}=b+t \]
である。したがって直交条件は
\[ (t+a)(t+b)=-1, \]
すなわち
\[ t^2+(a+b)t+ab+1=0 \tag{1} \]
となる。
この式が \(t \neq a, b\) となるような解が存在するための必要十分条件を考える。
実数解が存在する条件は、判別式
\[ \Delta=(a+b)^2-4(ab+1)=(a-b)^2-4 \]
より \(|a-b|\geq2\) である。ただし (1) が重解 \(t=a\) だけをもつ場合、\(C=A\) となって三角形を作れない。重解条件から
\[ (a,b)=\left(\frac12,-\frac32\right), \left(-\frac12,\frac32\right) \]
を得る。同様に重解 \(t=b\) だけをもつ2組も除く必要がある。よって必要十分条件は
\[ \boxed{ |a-b|\geq2,quad (a,b)\notin \left\{ \left(\frac12,-\frac32\right), \left(-\frac12,\frac32\right), \left(-\frac32,\frac12\right), \left(\frac32,-\frac12\right) \right\}} \]
である。
第4問
問題
\(n \in \mathbb{Z}_{>0}\) の時、次の式が成り立つことを示せ。
\[ \frac{1}{\sin 2x} + \frac{1}{\sin 4x} + \cdots + \frac{1}{\sin 2^nx} = \frac{1}{\tan x} - \frac{1}{\tan 2^nx} \]
ただし、左辺や右辺が定義できないような \(x\) については考えない。
模範解答を受領後に追記します。
第5問
問題
次の連立方程式を解け。
\[\begin{equation} \left\{ \, \begin{aligned} x^2 + x - 1 &= y, \\ y^2 + y - 1 &= z, \\ z^2 + z - 1 &= x. \\ \end{aligned} \right. \end{equation}\]
\(f(t)=t^2+t-1\) とおくと、条件は \(y=f(x),z=f(y),x=f(z)\) である。\(M=\max\{x,y,z\}\) を取る変数を \(t\) とすれば \(f(t)\leq t\) なので \(t^2-1\leq0\)、したがって \(M\leq1\) である。同様に最小値 \(m\) では \(f(m)\geq m\) だから \(m^2-1\geq0\) である。
\(m\geq1\) なら \(m=M=1\) で \((x,y,z)=(1,1,1)\) である。\(M\leq-1\) なら同様に全て \(-1\) となる。残る可能性として \(m<-1<M\) を仮定する。
\(m\) から順に \(u=f(m),v=f(u),m=f(v)\) とする。\(m=f(v)<-1\) より \(-1<v<0\) である。この区間では \(f(v)\geq-5/4\) だから \(m\geq-5/4\)、したがって \(u=f(m)>-1\) である。さらに \(v=f(u)\in(-1,0)\) なので \(u>0\) となる。
ところが \(u=f(m)>0\) かつ \(m<-1\) なら
\[ m<\frac{-1-\sqrt5}{2}<-\frac54, \]
となり、先ほどの \(m\geq-5/4\) に矛盾する。よって残る場合はない。
以上により、実数解は
\[ \boxed{(x,y,z)=(1,1,1),\ (-1,-1,-1)} \]
だけである。
第6問
問題
\(a,b,c\) が共に正のとき、次の不等式を示せ。
\[ \frac{1}{a} + \frac{1}{b} + \frac{1}{c} \leq \frac{a^8 + b^8 + c^8}{ a^3b^3c^3 } \]
\[\begin{align*} 8a^2b^3c^3 &\leq 2a^8 + 3b^8 + 3c^8 \\ 8a^3b^2c^3 &\leq 3a^8 + 2b^8 + 3c^8 \\ 8a^3b^3c^2 &\leq 3a^8 + 3b^8 + 2c^8 \end{align*}\]
1本目は、重み付き相加相乗平均より
\[ \frac{2a^8+3b^8+3c^8}{8} \geq\sqrt[8]{a^{16}b^{24}c^{24}} =a^2b^3c^3 \]
として得られ、残り2本も文字を巡回させれば同様である。3式を足すと各 \(a^8,b^8,c^8\) の係数は \(8\) になるため
\[ a^2b^3c^3+a^3b^2c^3+a^3b^3c^2 \leq a^8+b^8+c^8. \]
正数 \(a^3b^3c^3\) で割れば、求める不等式を得る。
第7問
問題
一辺の長さが \(1\) の立方体 \(ABCD-EFGH\) を考える。三角錐 \(A-HFG\) と三角錐 \(C-HFE\) の共通部分の体積を求めよ。
\(EFGH\) の高さを \(0\)、\(ABCD\) の高さを \(1\) とし、\(E=(0,0,0),F=(1,0,0),G=(1,1,0),H=(0,1,0)\) と置く。高さ \(z\) における第1の三角錐の断面は
\[ 0\leq x,y\leq1-z,\qquad x+y\geq1-z, \]
第2の断面は
\[ z\leq x,y\leq1,\qquad x+y\leq1+z \]
で表される。したがって共通部分は \(z\leq x,y\leq1-z\) の正方形を、2本の対角線に平行な直線で切った図形となる。その面積 \(S(z)\) は
\[ S(z)= \begin{cases} (1-2z)^2-(1-3z)^2=2z-5z^2,&0\leq z\leq1/3,\\ (1-2z)^2,&1/3\leq z\leq1/2,\\ 0,&1/2\leq z\leq1 \end{cases} \]
となる。よって体積は
\[ \begin{aligned} V &=\int_0^{1/3}(2z-5z^2)\,\dd z +\int_{1/3}^{1/2}(1-2z)^2\,\dd z\\ &=\frac4{81}+\frac1{162} =\boxed{\frac1{18}}. \end{aligned} \]
第8問
問題
実数 \(\theta, \phi, \psi\) に対して、次の条件が成り立っている。
\[\begin{aligned} &\theta + \phi + \psi = \frac{\pi}{4} \\ &\tan \theta + \tan \phi + \tan \psi = 1 \end{aligned}\]このとき、 \(n\in \mathbb{Z}_{\geq 0}\) として、次の等式が成り立つことを示せ。
\[ \tan ^{2n+1} \theta + \tan ^{2n+1} \phi + \tan ^{2n+1} \psi = 1 \]
\[ \tan ( \theta + \phi + \psi ) = \frac{\tan \theta + \tan \phi + \tan \psi - \tan \theta \tan \phi \tan \psi}{1 - \tan \theta \tan \phi - \tan \phi \tan \psi - \tan \psi \tan \theta} = 1 \]
ここで、
\[ x=\tan \theta, y=\tan \phi, z=\tan \psi \]
として、
\[\begin{aligned} \frac{x+y+z-xyz}{1-xy-yz-zx}=1\\ x+y+z-xyz=1-xy-yz-zx\\ (x-1)(y-1)(z-1)=0 \end{aligned}\]となるので、\(x,y,z\) の少なくとも一つが \(1\) である。一般性を失わず \(x=1\) とすると、条件 \(x+y+z=1\) より \(y+z=0\)、すなわち \(z=-y\) となる。したがって
\[ \tan ^{2n+1} \theta + \tan ^{2n+1} \phi + \tan ^{2n+1} \psi = 1^{2n+1} + y^{2n+1} + (-y)^{2n+1} = 1 \]
とわかる。
第9問
問題
全ての \(x \in \mathbb{R}\) について、 \(F(x) \geq 0\) となる多項式関数 \(F\) を考える。このとき、次の式を満たす多項式関数列 \(\{ f_n \}\) が存在することを示せ。
\[ F(x) = \sum_{i=1}^{n} \{f_i(x)\}^2 \]
ただし、関数列とは、ただ関数を並べただけのもので、 \(f_i\) は全て同じでも、すべて異なってもよく、また、関数列の長さ、つまり \(n\) もどんな値でも構わない。
\(F\equiv0\) なら \(f_1=0\) とすればよい。以下、\(F\) は零多項式でないとする。\(F(x)\geq0\) なので、最高次係数は正で、すべての実根は偶数の重複度をもつ。重複を添字へ含めれば
\[ F(x) = A\prod_{i} (x-a_i)^2 \prod_{j} (x^2+b_jx+c_j) \]
という形で因数分解が可能である。また、
\[ x^2+b_jx+c_j = (x-z_j)(x-\overline{z_j}) \]
と因数分解が可能である。ところで、
\[ G(x) + iH(x) = \prod_{j} (x-z_j) \]
とすることによって、
\[ G(x) - iH(x) = \prod_{j} (x-\overline{z_j}) \]
となるので、
\[\begin{aligned} F(x) &= A \prod_{i} (x-a_i)^2 (G(x) + iH(x)) (G(x) - iH(x)) \\ &= A \prod_{i} (x-a_i)^2 (G(x)^2 + H(x)^2) \\ &= \left(\sqrt{A} \prod_{i} (x-a_i)G(x)\right)^2 + \left(\sqrt{A} \prod_{i} (x-a_i)H(x)\right)^2 \end{aligned}\]となる。\(G,H\) は実係数多項式だから、右辺は実係数多項式2本の平方和である。よって \(n=2\) として題意が満たされる。
別解
\(F\) を因数分解すると、 \(F\) が常に正ということから、 \(F\) の実根を \(\{a_n\}\) として、
\[ F(x) = A\prod_{i} (x-a_i)^2 \prod_{j} (x^2+b_jx+c_j) \]
という形で因数分解が可能である。また、
\[ x^2+b_jx+c_j = (x-d_j)^2 + e_j^2 \]
と平方完成が可能であるので、
\[ \prod_{j} ((x-d_j)^2 + e_j^2) = \sum_k \{g_k(x)\}^2 \]
と平方完成できる。さらに二平方和の恒等式
\[ (u^2+v^2)(r^2+s^2)=(ur-vs)^2+(us+vr)^2 \]
を繰り返せば、二次因子の積も2本の実多項式 \(G,H\) を用いて \(G^2+H^2\) と書ける。したがって
\[ f_1(x)=\sqrt A\prod_i(x-a_i)G(x), \qquad f_2(x)=\sqrt A\prod_i(x-a_i)H(x) \]
とすればよい。
第10問
問題
\[ f(x)=\frac{1}{\sqrt{1+x}}+\frac{1}{\sqrt{1+a}}+\sqrt{\frac{ax}{ax+8}} \]
であるとき、任意の正数 \(a\) に対して、 \(f(x) \in (1,2)\) を示せ。
模範解答を受領後に追記します。